会社の事業承継についてどのような方法があるか助言お願いします。

  • 会社設立

会社の事業承継についてどのような方法があるか助言お願いします。(事業承継税制の利用は考えていません)

前提条件
社長:70歳、持ち株比率100%、財産は会社株式のみ、1-2年後に社長退任を検討している、役員報酬月額150万円
副社長(後継者):社長の息子、40歳持ち株比率0%
法定相続人は、副社長の他、社長の配偶者及び社長の娘で副社長以外会社に全く関与していない
会社評価額3億円、会社純利益今後10年毎年2,000万円計上見込、社長退任時に役員退職金3,000万円を支給見込

お答えします。

ちなみに数字は変えていますが実例で、現在①を実行し、R6年贈与税改正と社長退職金支給による会社価値減少に伴い、①を辞め②を実行し、③を実行する予定です(③は継続して実行予定)。

①暦年贈与の活用

事業承継
特別な事をしなければ国民全員に適用される課税方式で、年間110万円まで非課税とされていますが、110万円超過分について、累進税率で課税されます。
贈与者の相続開始前3年(R6年で改正7年)間の贈与財産は、贈与はなかったものとして相続財産として相続税が課税されます。

相続発生まで毎年副社長と社長配偶者に暦年贈与を一定の範囲で実施し続け、その他の対策は何もせず、相続発生時に相続税を負担するとういう方法です。
暦年贈与をどの程度まで行うかについては →こちら

ポイントは、副社長への株式移転だけでなく、社長の配偶者を経由して将来的に副社長へ株を移転させることで、負担を抑えることができます(社長配偶者が副社長への事業承継に同意している事が前提)。

毎年社長配偶者へ110万円以下の暦年贈与を行い税負担は0円、副社長へは310万円まで暦年贈与を行い110万円超過分の200万円のみ税率10%で税負担約20万円で財産移転を行っています。

また相続発生時、配偶者は1.6億円までの財産相続については、配偶者の相続税額軽減を利用することにより無税で済みます。ですので社長配偶者が社長より長生きするという前提で考えれば、社長相続の場面でも社長配偶者が一旦いくらかの持ち分を相続して、副社長へ贈与していくという選択が可能です。

なおR6年度改正で副社長への贈与は後述の②を選択する可能性が高くなるものの、社長配偶者への贈与は②は利用できないため引き続きこの手法(暦年贈与)は引き続き有効と思われます。

②相続時精算課税の活用

累計2,500万円までの贈与は無税で、2,500万円超過部分につき、年間110万円超過額につき、一律20%の贈与税が課せられます。ただし、この贈与税はあくまで相続税の前払い金であり、また贈与財産も相続発生時に再度相続財産として相続税計算の対象とされます(①は相続開始前3年又は7年間の贈与財産のみが相続税計算の対象とされます)。 注意点として一度相続時精算課税を選択すると①の暦年贈与は利用できなくなる事です。

このパターンは、生前に多額の贈与を実行したいケースの利用が想定されます。 会社株式の場合、赤字決算などで一時的に会社評価額が大きく減少したタイミングで多額の贈与を実行するなどです。 また贈与財産が贈与時の価額で相続税計算の対象とされるため、毎年会社の評価額が上昇していくケースに限定されると思われます。

会社は毎年2000万円の利益を計上する前提ですので、基本的に毎年会社評価額は上昇します。また、社長退任による退職金支給で赤字決算となるタイミングで必要と思われる株式数を副社長へ贈与する予定ですが、今はそのタイミングではありません。ただし、事前に準備しておかなければ、タイミングが来た時に簡単に理解できるものでもなく、実行できるものでもありません。

③社長保有株式を順次会社へ譲渡していく

会社保有の自己株式はないものと考えられますので、自動的に(副社長の負担なしに)副社長の持ち株比率が上昇します。問題点として、株式譲渡人である社長は譲渡代金につき多額の課税がされる点です(*)。
ただし、一族全体で見れば税負担は大きくなるかもしれませんが、社長個人から見た場合、贈与や相続では手取りがないのに対し、譲渡代金以上に税金を取られることはない(せいぜい半分)ため、相続対策を行いながら現金を得ることができます。 役員報酬を貰っている年に実施すると所得税の累進税率で相当な税率が課される。退任後役員報酬(給与所得)が少ない年に譲渡を行う事がポイント。1度で行う必要はなく、複数年、複数回に渡って行うことも可能。

(*)譲渡代金の一部がみなし配当として、それ以外の部分が有価証券譲渡損益として課税対象とさます。また年10万円超の未上場株式の配当は総合課税とされます。さらに、会社への贈与であったり時価の50%以下での会社への譲渡の場合、譲渡人が時価で譲渡したものとして譲渡所得課税されるので注意が必要です。
【2024年5月】
このコーナーは、実際に受けた質問を一般的にアレンジしたものの他、想定問答を掲載しています。
作成時の税制などに基づいており、その後の税制改正などにより、取扱いが変わる場合がありますので、あくまで参考情報として、自己責任での運用、又は当事務所とご相談(有料)の上での運用をお願いいたします。