祖父母から孫への教育資金一括贈与の非課税という規定は活用すべきですか?

祖父母から孫への教育資金1500万円一括贈与の非課税という規定があるとのことですが積極的に活用すべきでしょうか?

ここでは思いついた留意点だけをピックアップしてみたいと思います。

手続きや詳細につきましては国税庁ホームページの解説を参考にしていただければと思います。

そもそも扶養義務者間における教育資金贈与は、非課税

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祖父母から孫へ、その都度贈与される教育資金は、通常の範囲内の金額は非課税です。
ご質問の非課税の規定は将来的な教育資金を一括で贈与した場合に非課税となるものです。(贈与税法)

第二十一条の三 次に掲げる財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しない。

扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの

扶養義務者とは?

相続税法基本通達

1の2-1 相続税法に規定する「扶養義務者」とは、配偶者並びに民法第877条の規定による直系血族及び兄弟姉妹並びに・・・・・

民法第877条

 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
おじいちゃんおばあちゃんは孫に対して扶養義務があり逆に孫もおじいちゃんおばあちゃんを扶養する義務があります。
もっと厳密に言えば扶養義務は扶養権利者(自分の力だけでは生活を維持できない者)に対してあるわけですから上記の例で言えばおじいちゃんおばあちゃんは財力のある成人した孫を扶養する義務はなく、逆に成人した孫が意識のしっかりした財力のあるおじいちゃんおばあちゃんを 扶養する義務はありません。

財産を費消させるための非課税規定

この非課税規定を利用して贈与した金額が余った場合は非課税でなくなります。したがって使い切らなければなりません。この制度は国が高齢者世帯から若い世帯へ資金を移転させてお金を使ってもらうことにより経済を活性化させようという狙いがあります。

預貯金だけで数億円、その他不動産も有価証券もという様な資産家であれば将来的な相続財産を圧縮する効果がありますが、多少相続税が発生する程度の方であれば、財産を消費してしまうだけで、財産を承継するものではありませんので、慎重に検討すべきかと思います。

このコーナーは、実際に受けた質問を一般的にアレンジしたものの他、想定問答を掲載しています。
作成時の税制などに基づいており、その後の税制改正などにより、取扱いが変わる場合がありますので、あくまで参考情報として、自己責任での運用、又は当事務所とご相談(有料)の上での運用をお願いいたします。