NPO法人でデイサービスを行っていますが、法人税の申告・納税は必要ですか?

当社は、NPO法人で放課後等デイサービスを行っています。法人税の申告・納税が必要なのでしょうか?

お答えします。

NPO法人は収益事業課税、非収益事業非課税です。

NPO法人_法人税
まずNPO法人につきましては、収益事業を行っていれば法人税の納税申告の義務があり、収益事業を行っていなければ法人税の納税申告の義務はありません。

収益事業については、法人税法施行令第5条に限定列挙で34業種定められており、これに該当するのであれば法人税の納税申告の義務があり、該当しなければ義務がないという事になります。

収益事業に該当するのか?

収益事業に該当するか否かにつき様々な意見があり、代表的な例が厚生労働省から国税庁への照会の回答事例です。

・厚生労働省から国税庁への照会の回答事例_1
・厚生労働省から国税庁への照会の回答事例_2

一見すると、医療保健業に該当し収益事業と判断してしまいそうですが、照会当時は支援費制度の時代であり、その後障害者福祉支援法、児童福祉法へと制度そのものが変遷しており、ご質問の放課後等デイサービスにつきましては軽度の障害児に対する保育であり、必ずしも医療と密接に関係しない事から医療保健業に該当しないのではという主に税理士側からの意見がありました。

実際に福岡国税局へ照会してみた結果

このご質問は、お客様からの実際のもので、曖昧なまま放置できないと判断し、福岡国税局へ事前照会を行いました。
(平成27年10月2日)

既に2期分の納税申告を行ってましたので、結果は事前照会に該当しないとの事で、口頭での回答になりましたが、収益事業に該当しないとの回答を得、過去2期分の納税額につき更正の請求を行い、納税額の還付を受けました。

従って放課後等デイサービスを営むNPO法人は、法人税の納税申告の義務がないという事になります。
根拠としては、児童福祉法に基づく事業という事で下記照会回答事例が該当するかと思います。

・児童福祉法関連回答事例_1
・児童福祉法関連回答事例_2


留意点

留意事項として、上記取扱いは、現状税務署によって対応がまちまちだと思われます。
福岡国税局管内であれば、当該事例を提示すれば話が通る可能性は高いと思いますが、そのほかの地域ではまだ見解が統一されていない可能性があります。

このコーナーは、実際に受けた質問を一般的にアレンジしたものの他、想定問答を掲載しています。
作成時の税制などに基づいており、その後の税制改正などにより、取扱いが変わる場合がありますので、あくまで参考情報として、自己責任での運用、又は当事務所とご相談(有料)の上での運用をお願いいたします。