株式会社である法人の税負担(実効税率)はどの程度?

当社は資本金1,000万円の株式会社ですが、法人の税負担はどの程度になると考えれば良いのでしょうか?(法人の実効税率について教えてください。)

大雑把な考え方としては、中小企業であれば、税引前利益800万円以下まで約25%、800万円超部分については約35%として考えれば良いかと思います。

税負担
詳細補足します。

中小企業に該当するかどうか
上では中小企業であればとしていますが、厳密には「中小法人等」(法人税法57条)に該当する必要があります。
こちらのイラスト会話(吹き出し部分)が分かり易いかと思います。

何に対して税率をかけるのか?
上では税引前利益としていますが、 厳密には法人税法の規定により、その事業年度の益金の額から損金の額を控除した、所得金額に対して税率を乗じます。
一般的なケースでは、税引前利益と大きく異なるものでもありませんので、ここでは省略します。

公式
単純に課税される税率を足し合わせて求める税率を表面税率と言います。
表面税率=法人税率+法人税率×地方法人税率+法人税率× 住民税率+事業税率

しかしながら、事業税以外の税金は所得計算上除外されるのに対し、事業税のみ損金となる(所得計算上減算される)ことから、実効税率を求める算式は以下の様になります。
実効税率=表面税率÷(1+事業税率)

具体的な実効税率の計算方法
平成30年5月決算法人で、福岡市をモデルとします。

法人税率  所得800万円以下15%、800万円超 23.2%

地方法人税率 上記法人税率×4.4%

住民税率 
 福岡県 上記法人税率× 3.2%

   (法人税額が1,000万円を超える場合には4.0%ですが、ここでは無視します)
 福岡市 上記法人税率× 11.3%
   (資本金等の額が1,000万円を超える場合には12.1%ですが、ここでは無視します)

事業税率 所得400万円以下3.4%、所得400万円超800万円以下5.1%、 所得800万円超6.7%

地方法人特別税率  上記事業税率× 43.2%

所得金額0.1万円~400万円の場合
①表面税率=15%×(1+4.4%+3.2%+11.3%)+3.4%+3.4%×43.2%=22.7038%
②実効税率=①÷(1+3.4%+3.4%×43.2%)=21.649・・・%

所得金額400万円~800万円の場合
①表面税率=15%×(1+4.4%+3.2%+11.3%)+5.1%+5.1%×43.2%=25.1382%
②実効税率=①÷(1+5.1%+5.1%×43.2%)=23.427・・・%

所得金額800万円超の場合
①表面税率=23.2%×(1+4.4%+3.2%+11.3%)+6.7%+6.7%×43.2%=37.1792
②実効税率=①÷(1+6.7%+6.7%×43.2%)=33.924・・・%


このコーナーは、実際に受けた質問を一般的にアレンジしたものの他、想定問答を掲載しています。
作成時の税制などに基づいており、その後の税制改正などにより、取扱いが変わる場合がありますので、あくまで参考情報として、自己責任での運用、又は当事務所とご相談(有料)の上での運用をお願いいたします。