税理士事務所の選び方【コラム】

税理士事務所の選び方(出来るだけ客観的に)

1.大・中・小税理士事務所の特徴

まず、大規模事務所(従業員10~50名)、中規模事務所(5~9名)、小規模事務所(1~4名)と定義します。
そのうち、中規模事務所につきましては、ここでの説明は割愛させて頂きます。

理由は、私自身経験がないこともありますが、中規模事務所が大事務所になろうとしているのであれば、大事務所に似たサービスを行っており、規模の拡大ではなく、小事務所の良さを維持しようとしているのであれば、小事務所に近いサービスを提供しているため、一概に判断できないためです。
税理士_福岡市_会計事務所
●メリット
 一大事(税務調査で揉めて、裁判沙汰になるなど)の場合、担当者が頼りなくても、バックアップ体制がしっかりしている事が多いため安心(であることが多い)。

 業務がマニュアル化されているため、サービスが安定している(事が多い)。

 料金の値引きに柔軟に対応できる(職員の安い人件費が原価となるため、多少値引きをしても利益が出る)事が多い。
▲デメリット
 日常的にサービスを提供するのは、担当者なので、良くも悪くも担当者次第。

 支払う料金が少なければ、担当者は社会経験が浅い若手になる傾向がある。

 ベテランの担当者や税理士に担当して欲しければ、高額の料金になる傾向がある。

 若手の担当者だと、サービスの質が低い(ことが多い)。

 代表者の目が届かない(会社の危機や倒産したことさえ知らないこともある)。

 代表者に直接クレームを言えないし、相談することもできない。

 業務がマニュアル化されており、融通が利かない(細やかなサービスが出来なかったり、ちょっとしたサービスでも料金が発生する)事が多い。

 代表者も担当者も、顧客の事業や業績に深い関心がない(事が多い)。
会計事務所_経営サポート
●メリット
 代表者が直接管理しており、常に気にかけている(事が多い)。

 融通が利きやすい。細やか・柔軟なサービスができる(事が多い)。

 税理士や代表者が直接担当だったり、定期的に顔を出してくれる。

 上記の理由から、ある程度質の高いサービスが期待できる(事が多い)。

 責任者に直接クレームを言うことも可能だし、直接相談することも可能。

 コストパフォーマンスは高い(事が多い)。

▲デメリット
 代表者の長期入院・病気などで、日常の業務に支障が出る可能性がある。

 代表者が死亡したら、再度税理士探しをしなければならない。

 良くも悪くも、代表者次第。

 提携関係で人手不足やサービスのバリエーションを補完している場合もあるが、基本的に代表者の能力以上のサービスは期待できない。

 絶対的な料金は安くない事が多い(事務所の方針次第)。

というのが、一般的な傾向になります。


2.どのような税理士事務所が良いか?

金子税務会計事務所_中小企業経営支援
利益が毎期10百万円以上出る程の会社で、ある程度税理士報酬を払っても良いのであれば、事例・ノウハウ・人知の豊富な大規模事務所で、担当者を税理士もしくはベテラン職員に 限定してもらう方が良いかもしれません。

とにかく安い料金で、税務関係の処理だけをしてほしいのであれば、大規模事務所に予算を伝えて、引き受け可能か問い合わせてみるか、もしくは中・小規模事務所で、安く引き受けてくれるところを探す方が良いと思います。近場で探すというのはポイントかもしれません。
どうしても、距離があると、移動時間、移動コストが発生しますので、その分上乗せとは言わないかもしれませんが、結果として安くなりません。

料金とサービスの兼ね合い(コストパフォーマンス)であれば、小規模事務所がお得だと思います。

また、意外と盲点なのは、税理士事務所側からも好感を持ってもらわないと良いサービスを受けるのは難しいという事です(それなりのサービスは受けられます)。
税理士事務所側から見た場合でも、長いお付き合いの中での擦れ違い、例えば、お客様意識が高すぎる、言葉使いや態度が悪い、返事をしない、返事が遅い、約束を守らないなど、不快に感じることは何等か生じます。

その時に、

 完璧な人はいないのだからと我慢する(できる)

 契約を解消する

 お客側から解約を言い出すまで、適当に付き合い報酬を貰ってるのだからと割り切る

のいずれかの対応をする事になりますが、良いサービスを受けるには、でなければならず、であるためには、僭越ながら税理士事務所側がお客様に好感を持っている必要があると思います。


3.税理士事務所のサービスとは?

基本的に、数回接触しただけでは、良し悪しを判断出来ません。
ある程度、会った際の印象で決めるしかありませんが、事前に確認すべきこと(念を押すべきこと)はあるかもしれません
(詳細は5.で記述)。
金子税務会計事務所_事業の成長
 経理や税務処理の正確性

 その日によって回答が異なる、担当者によって回答が異なる様な事がないか否か?

 節税や節約(経費削減)に関する助言の有無

 会社が儲かっている場合には、相続対策も視野に入れた助言の有無

 資金繰りや銀行借入に対する助言の有無

 リスク対策などとしての保険の提案の有無
※以下の項目は、安さを求めるのであれば、期待できません。

 同業他社や異業種の事例の情報提供の有無

 アライアンスの提案や、アライアンス先の紹介等の有無(結構難しいです)

 業績報告

 売上、費用、利益を説明して終わりなのか、財務諸表の見方から始まり、推移分析、予実対比などから、売上・費用の内容の分析、資金繰りに及ぼす影響、財務内容の改善提案、事業計画の推奨、銀行の見方などまで説明してくれるか否か?

 経営全般的な相談

 この点に関しては、HPでアピールされていたり、口先でできるという人はたくさんいますが、実際には相当難しいです。

 経営経験やコンサル経験がある税理士もいますが、業種が違えば・・・という問題と、コンサルで本当に実績があるのか?という問題があります。
(何を実績とするかという問題もありますが、私の感覚では、コンサルで実績がある有能な人は全体の数%だと思います。)

 ただ、経営を指導してもらう、経営課題に的確な助言をとなると、困難ですが、第三者の意見という意味では、長年会社の裸を見てきている税理士、他社の成功例/失敗例を数多く内側から見てきた経験のある税理士は、有用なことが多いと思います。

 マーケティング、人事組織体制・給与政策など、専門分野ではないにしろ、それなりに有用な意見が聞けるかもしれません。

 こういった分野で必要とされる要素は、①顧客に対する気持ち②顧客の事業を見てきた期間③担当者もしくは税理士の経験や能力になります。

 この点に関して、適任なのは、自事務所のマーケティングや人の採用や育成の経験、顧客に対する気持ちなどの面から、税理士事務所の代表者だと思います。

※上記の項目は、 チェック項目として列挙しただけで、その都度、全てをこなせるものではありません。


 1人の担当者が2~3社を専属に近い状態で担当しているのであれば、能力のある人はできる かもしれませんが、税理士事務所の担当者は、通常1人で20社近く担当しています(そうしなければ成り立たないような報酬体系です)。

 大事務所の場合は、組織力でサポート出来るとPRするかもしれませんが、会社の事を理解 していないと不可能な事が多いです。
あくまでも、担当者次第です。

 あくまでも、長い目で見て、総合的に上記のような、サポートをしてくれるか否かの判断 基準とお考えください。

4.複数の税理士事務所と接触してみる

理由は、

①紹介会社自体、税理士を見極める能力がない(会ったことすらない)

②税理士側が、紹介会社に年間報酬の50~60%を手数料として払わなければならないからです。

税理士側はまともにサービスを提供したら赤字ですから、サービスに手を抜いたり、新入職員の練習台にされたり、顧問料以外の年末調整や調査立会や資料作成料を通常よりも割高に設定しているという話もあります。

お客様の手数料が無料と言っても、税理士側からして見れば、通常の半分の報酬しか貰えないのと同じですから、当然と言えば当然です。
何度か聞いたことがある話で、起業支援をしている方達(行政機関含む)から紹介を受けて契約をしてしまったケースがあります。そういう方達と組んでいるのは、大手事務所が多く、スタートアップにもかかわらず、年間50万円程の支払いをしていました(当事務所の場合20万円超)。
一概に金額だけでは比較できませんが、その大手事務所の担当者も20代のよく分からない人で、1年毎に退職等で担当者が変わっていたそうです。
一番は、昔からの知人経由で、どういう税理士か、料金はどの程度か、気に入っているところ・不満に思うところを聞いたうえで、実際に会ってみて、納得して契約するのが一番だと思います。

知り合いの紹介が期待できない、紹介を受けたがしっくりこなかった等であれば、次善策として仕方ありませんが、HP検索等で、2,3社程度問い合わせをされて、実際にお会いして見る事になります。
新規見込みのお客様からの問い合わせはうれしいものです。丁寧に対応してくれると思います。
ただし、複数の税理士と相見積りするとは伝えてない方が無難かもしれません。
それなりに高い買物ですし、途中での税理士事務所変更は、精神的にも、労力的にも、負担は大きいと思われます。

*料金の安さを求めているのであれば、料金の比較
*高度な節税手法を求めているのであれば、実際に手法を聞いてみて、他の事務所に その手法が適正なものなのか確認してみる。
*コストパフォーマンス(価格とサービスのバランス)を重視するのであれば、誰が担当するかは重要です。契約前に担当者に面会を依頼すべきです。
大袈裟かもしれませんが、どこの税理士事務所にするかで、会社(事業)の将来に影響する事もないとは言えません。

本来は、「どこの誰と付き合おうと、誰から邪魔されようと、経営者さえしっかりしていれば、・・・・」というのが原則ですが、過去において、ある人との出会いがきっかけで、人生が好転したというご経験はありませんか?

ひょっとしたら、税理士(もしくは担当者)が、その人になる可能性もあります。
「話しているだけで元気が出る」、「想像もしなかった視点からアドバイスをくれる」など。

5.質問項目

大手事務所の先生が、直接新規契約の説明をしてくれたり、しっかりした優秀そうなベテラン職員が説明してくれたからと言って、実際に担当するのは、20代の税務も仕事も、お客様の事業も全くわからない人だったということは、実はよくあることです。
税理士事務所も契約が欲しいため、オーバートークになりがちなのは、私も実体験としてわかるのですが、「3.」にあるような、経営全般の相談に「何でもできる」的な回答をする方は、疑ってかかった方が良いと思います(もしくは期待せずに契約する)。

以上で終わりますが、コラム形式で、思いついたことを淡々と書きましたが、当事務所もご検討いただければうれしい限りです。
当記事に関することで、ご不明なことがありましたら、お問い合わせ頂いても構いません。

   ご参考にして頂ければ幸いです。

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