開業準備期間の費用は、開業費という繰延資産として処理すると聞いたことがあるのですが、もうちょっと詳しく教えてください。

開業準備期間の費用

所得税(個人事業)と法人税(会社)とでは取り扱いが異なります。

会計、税法における定義 

まず、小難しいですが、各法律ではどのように定義されているか調べてみました。

会計

土地、建物等の賃借料、広告宣伝費、通信交通費、事務用消耗品費、支払利子、使用人の給料、保険料、電気・ガス・水道料等で、会社成立後営業開始時までに支出した開業準備のための費用

税務

 所得税法施行令第7条1項
 一  開業費(不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用をいう。)

 法人税法施行令 第14条 1項
 二  開業費(法人の設立後事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用をいう。)

 とあり、どちらも大して変わらない表現となっています。

一般的な処理方法

実務においては(税理士等の専門家が一般的に処理する場合)、所得税法では会計上の開業費を全て繰延資産として計上できるのに対し、法人税法では、会計上の開業費のうち、 経常的な性格を有する費用(土地、建物等の賃借料、支払利子、使用人の給料、保険料、電気・ガス・水道料等) は除かれることとされています。

一般的な処理方法に対する疑問

この理由を書籍やネットで調べたところ、今は削除されていますが過去の法人税基本通達において、そのような解説がされていたとの事で、繰延資産の償却にあたり、法人税法では任意償却(償却の有無、時期は一定限度内で自由)であるため、利益調整の手段とされるのを防止するためとの解説がありました。
ただし、開業費は所得税法でも任意償却ですので、上記理由ではなぜ所得税と法人税で開業費の範囲が異なるのか、論理的な説明にはなっていません。

例えば、事務所ではなく店舗の開店日前の期間の賃借料、保険料、電気・ガス・水道料等、店舗スタッフのトレーニング期間に対応する給料など、極端な例を挙げましたが開業費としても良いのではないか思えてきます。

結論として、税務署からの指摘を受けるのが嫌であれば一般的な処理方法を採用すべきですが、上記の通り一般的な処理方法の理屈も筋が通っておらず、一般的でない処理方法もそれなりの理屈があることから、状況によって一般的でない処理方法も選択の余地があるのではないかと思われます。


このコーナーは、実際に受けた質問を一般的にアレンジしたものの他、想定問答を掲載しています。
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